効果的な営業目標を設定することの重要性

  • はじめに

    営業担当者は、大きくて価値のある「大型取引」を成立させるということに集中してしまいがちです。 しかし、ビジネスにとって、また営業チームのメンバーにとって、それが必ずしも最善ではありません。 すべての営業担当者が大型案件の成約を成功させることができるとは限りません。 大型案件だけに焦点を当てていては、売上目標の達成には繋がりません。 小さな取引も、売上を上げる大事な機会となるのです。

    では、営業チームのモチベーションを維持し、かつ売上やパフォーマンスを向上させるには、どうすればいいでしょうか? それは、「大きな目標に向けた段階的な小さな目標を持つ」ということで解決できます。

    効率的な売上目標の設定方法

    段階に応じた小さな目標を設定することで、営業担当者は少しずつ成果を上げて確実に自信をつけることができます。週ごとや、あるいは月ごとの小さな目標を立てて確実に達成していくことで、大きな目標を達成できる可能性を高めることができるのです。 また、大きな目標に向けた担当者の進捗状況を把握することができます。

    ここでは、個人やチームレベルで効率的な目標を設定する方法をご紹介します。

    徐々に目標を高めていく

    いきなり高い目標を立ててしまうと、「達成できないかもしれない」と不安になり、モチベーションが低下してしまいます。 もし担当者が現在週に50通のメールを送信していて、100通にしたいと考えた場合、すぐに週のメール目標を2倍にしてはいけません。来週は60通、翌週は70通、というように徐々に目標を上げていくようにしましょう。 無理に高い目標を設定するのではなく、実現可能な目標を設定することにより、より質の高い仕事と、より良い数字を生み出します。仕事の増加により適当になるのを防ぎ、品質を向上させつつ量を増やすことが可能になります。

    目標に優先順位をつける

    どの目標が達成されたときに会社にもっとも利益をもたらすのかを見極め、営業担当者が最初にその目標を優先的に達成するように設定しましょう。 たとえば見込み客への訪問営業数を改善する必要がある場合は、毎週10%ずつ訪問営業の回数を増やすことを目標にします。 目標の優先順位を決めることで、たとえ担当者がすべての目標を達成できなくても、会社の利益や担当者の成長にとって最も重要な目標を達成することができるのです。

    逆算して具体的な数値を設定する

    個人やチームの目標を設定する場合は、年間の売上目標に合わせて設定する必要があります。 会社の年間売上目標から逆算して、毎月の売上目標を算出します。 目標が決まれば、その目標を達成するために、部門、チーム、個人の担当者がどれだけ販売する必要があるかを計算します。売上目標に加えて、その目標を達成するためには、チームと個々の担当者が達成すべきマイルストーンを決定する必要があります。もし営業担当者が今月100万円のビジネスを成立させる必要があるなら、その目標を達成するための活動目標を設定しましょう。

    売上目標と異なり、活動目標とは、営業活動のノルマ数と言い換えることができる目標です。 まず、営業担当者の過去の実績をもとに、100万円を売り上げるためにはどれだけの営業メール、営業電話、ミーティングが必要かを把握します。例えば、ノルマを達成するために、月に平均4件の商談を成立させなければならないとします。訪問営業の50%が契約に結びつくとしたら、毎月8人の見込み客に訪問営業をしなければならないことになります。営業電話のうち30%が訪問営業につながったとすると、約27人に電話をかけなければなりません。

    このように、逆算することで、数値に変えて管理することができます。その際に中途採用やその教育に関わる人員などを必ず考慮する必要があります。 例えば秋に3人の新しい営業担当者を中途採用した場合、秋〜冬には中途入社社員の教育に追われるため、教育を担当した社員は目標を達成するのは難しいかもしれません。 しかし、このような事態を元から想定して目標を立てておけば、想定外の社員教育に手を取られて目標を達成できないという事態を防ぐことが出来ます。大きな収益目標に向けた小さな目標を数字にして可視化することは、モチベーションを維持するための素晴らしい方法です。

    目標達成のインセンティブを与える

    営業チームのモチベーションを高めるため、目標を達成した場合はボーナスなどインセンティブを与えましょう。 金銭的なインセンティブを提供する予算がない場合でも、社内で表彰したり、休暇を与えることを目標達成の報酬とすることができます。また、チーム全員が目標を達成した場合にのみ与えられるインセンティブを用意することも効果的です。 例えば、「営業担当者は全員、電話やミーティング、メールの数を○回以上、売上を○○万円、顧客維持率を○%にする」などです。

    目標の進捗状況をモニターする

    目標はモニタリングされていなければ意味がありません。 顧客管理ツールで進捗状況を確認したり、Excelやスプレッドシートに毎週の営業活動の進捗を入力しましょう。 毎週の目標の数字を達成できなかった場合は、毎月のノルマ達成に支障をきたす前に相談しましょう。 このように常にモニタリングすることで、目標達成まで近づくことがきます。

    目標よりも高い目標を更に設定する

    ストレッチゴールとは、自分の目標を超える第二の目標のことです。 一般的に、目標の120%程度の成果が良いと言われています。 「月を目指せば星にたどり着ける」という言葉があります。 このように、高い目標を補助的に設定することで、それが達成できなかったとしても大きな進捗を生むことが出来るのです。

    しかし、すべての人に適しているわけではありません。 毎月ノルマを達成するのに苦労している担当者がストレッチゴールを設定しても、不安が増すだけです。 しかし、現実的なストレッチゴールを設定することで、モチベーションを高めることができます。

    一人ひとりに合わせた目標を設定する

    チーム全体の目標に加えて、個々の営業目標を設定することが重要です。 営業担当者は一人ひとり違います。 強みも弱みも違いますし、チームの構成によっては、担当する見込み客も違います。 ある担当者が携わる商談の平均取引額は50万円かもしれませんが、別の担当者の平均取引額は500万円かもしれません。 だから、チームに貢献するために個人でやらなければならないことは、人によってそれぞれ異なるものになるのです。 そのため、目標を設定する際には、各営業担当者の過去のデータを考慮する必要があります。 特に新しい営業社員を営業チームに迎え入れる際には、より個人に合った目標を設定することで、早期離職の防止に繋がります。

    また、目標は、チームや個人が現実的に達成できるものでなければなりません。 過去の実績を大幅に上回っていたり、担当者に時間的な余裕がなくなるほどの目標を設定しても、達成できる可能性は低いでしょう。

    さいごに

    具体的な目標を設定することでモチベーションを高めることができます。 目標が現実的で、達成可能なものであることを確認するために、新しい目標を設定したり、古い目標を見直したりする際には、営業担当者にきちんとヒアリングをしましょう。 目標を持ってそれに沿った計画を立てて営業活動を行った場合は、そうでない人よりもパフォーマンスが高いと言われています。