効率的な市場拡大戦略の設定方法

  • ひとつの市場のみをターゲットにしたサービスや製品は、いずれは開拓することのできる見込み客がいなくなってしまいます。 市場のすべての人がすでに顧客になっているか、他社のサービスを利用しているという状況に陥り、企業の成長は停滞してしまうのです。

    しかし、新しい市場に進出することで、潜在的な顧客と収益を増やすことができます。 そうすれば、さらに企業の成長を見込めます。

    市場拡大戦略とは?

    市場拡大戦略とは、既存の販売チャネル(※)の成長がピークに達したときに、現在の製品を新しい市場で販売して、売上を伸ばすという成長戦略のことです。

    チャネル

    企業のマーケティング活動におけるチャネルは、「流通経路」とそれに携わる業者、組織を指す。マーケティングの世界では「どんなに良い製品でもチャネルが悪いと売れない」とも言われており、企業活動において重要視されている概念の一つ。 参考サイト
    https://dime.jp/genre/1082921/

    市場拡大戦略を成功させるには

    市場拡大戦略を成功させるためには、まず既存の市場を開拓し尽くしていることが必要です。 その上で、成長可能な他の市場をリサーチする必要があります。 そして、成長できる見込みのある新しい市場を探し出し、見込み客を惹き付けるマーケティング戦略を行う必要があります。 ここでは、効果的な市場拡大戦略を策定するための手順をご紹介します。

    開拓する市場を特定する

    市場拡大戦略を立てる前に、参入すべき市場をリストアップし、その市場で成功できる見込みがあるかどうかをリサーチする必要があります。

    成功する見込みがあるか、市場を評価するポイントとしては以下のような点が挙げられます。

    • 市場のターゲット層、年齢、性別、言語
    • 新しい市場の規模
    • 現在のその市場での会社の業績
    • 製品やサービスは、この市場にどの程度対応しているのか

    上記のような要素を把握することで、その市場に参入できるかどうかを判断することができます。 また、市場拡大をする際に、営業チームとマーケティングチームがしっかり連携することが重要となります。 両チームが連携することは、市場拡大を成功するための基盤となります。

    市場拡大のアプローチ方法を決定する

    新しい市場への参入には、様々な方法があります。 必ず成功するという万能な戦略はありません。 その市場に人脈があれば、紹介で参入することもできます。 また、インターネットを活用し、関連する業界のイベントやソーシャルメディアを通じて新規市場との関係を構築することもできます。

    新規市場との繋がりを持っていない場合の効果的な参入方法は大きく2つ存在します。

    ひとつは、適した見込み客を特定し、ターゲットを絞ったマーケティングや営業活動を行うことで、見込み客の関心を高めていく戦略です。このアプローチはパーソナライズされているため、成功率が高いのが一般的です。

    もう一つは、サービスに無料トライアル等を導入し、見込み客に無料でサービスを体験してもらい惹き付ける製品主導型の戦略です。 ユーザーが製品を気に入れば、継続的な有料ユーザーになってくれる可能性があります。

    この2つのアプローチが効率的で成功しやすいと言われるのは、見込み客に価値を提供することに重点を置いたからです。

    もし、別の市場参入方法を選択した場合でも、マーケティングと営業活動の中心は、自社の製品やサービスが見込み客の抱えている問題点をどのように解決するかに置くようにする必要があります。 また、市場拡大戦略の一環として、単に市場を拡大するのではなく、新製品を開発して収益機会の増加を検討することもできます。 新製品の開発に投資する場合は、まず、新製品によって解決できる市場のニーズを特定することから始める必要があります。 お客様のニーズに合ったサービスを提供することで、最終的には売上の増加につながります。

    市場拡大する理由を再確認する

    市場拡大戦略を成功させるためには、まず「なぜ拡大したいのか」を明確にする必要があります。まず、拡大したい理由を書き出してみましょう。 新たに開拓したい市場と、その市場への進出が成功するとみなす理由を明確にします。

    自社の製品やサービスに対する個人や企業のペルソナを設定し、どのようにアプローチするかを検討します。ペルソナとは見込み客の年齢、性別、職業、居住地などのデータを一般化した「ターゲット層」のようなものです。ペルソナを設定することで、マーケティングチームや営業チームが、新しい市場で需要を生み出すために、適切な見込み客をターゲットにするのに役立ちます。 どのようなマーケティングメッセージが相手の心に響くのかを特定しやすくなるのです。 同時に商品を店頭に並べる、ソーシャルメディアやクリック広告でターゲットを絞る、その他の戦略など、見込み客にリーチするために利用するマーケティング戦略を決定します。

    誰をターゲットにするのか、どのようにして新しい市場に進出するのかなど、戦略のまとめが終わったら、その戦略を正当化するための提案書を作成しましょう。 その際には、上司やメンターなど、客観的な新たな視点を提供してくれる人の協力を得ることが大切です。

    資金調達方法を決定する

    提案書を提出し役員や共同設立者、メンターの支持を得た後は、市場拡大戦略に必要な資金をどのように調達するかを検討しましょう。 まず、市場拡大に伴うすべての費用を洗い出します。 市場拡大を成功させるために必要な個々のリソースや、新しい取り組みが利益を生むまでの期間を書き出します。 市場拡大の初期段階の利益が少ない期間も想定し、最終的には初期投資を回収できるようにする必要があります。

    計画を立て、新しい取り組みに必要な資金をどのように調達するかがわかったら、次は新しいチャネルに進出しましょう。 チャネルとは、製品やサービスをターゲットとなる顧客に届けるための販売経路のことです。 商品を小売店で販売する、デジタル広告を利用してオンラインで販売するなど、さまざまなチャネルが考えられます。 適切なチャネルを使って新しい市場に進出することは、新しい顧客を効果的に惹きつけ、市場拡大戦略を成功に導くための重要なポイントです。

    自社や自社ブランドの成長を重視する

    新規市場で掴んだ新しい顧客との関わりから学んだことを、無駄にせずに今後のビジネスに活かすことが重要です。 新規顧客の購入動機や興味がある分野をリサーチして、新規顧客の習慣をより深く理解することで、同じ動機や行動を持つ他の潜在的な顧客を効率的に獲得することができます。 特定のタイプの購入者をターゲットにすることは必要ですが、最終的な目標は更なる市場の拡大です。 幅広い層にアピールする魅力的なマーケティング戦略を行うことで、今まで考えもしなかったような新規顧客を獲得することができる可能性があります。

    ターゲットに向けたマーケティングと、幅広い層にアピールするマーケティングの両立は難しいことです。理想的には同時に両方にアプローチするマーケティング戦略を実行することです。 また、ある購買層が別の購買層向けの広告を目にする可能性があるので、できるだけメッセージに一貫性を持たせることが重要です。

    さいごに

    成功が保証されている市場拡大戦略というのは存在しないため、常に新しい取り組みに伴うリスクを受け入れなければなりません。 しかし、市場拡大戦略が成功すれば、会社の売上を大幅に向上させることができます。

    インターネットや、テクノロジーの進歩により、新しい市場への参入や拡大のスピードは格段に上がっていますが、それでも時間がかかることがあります。 新規市場でシェアを拡大したり、多くの利益を得るようになるには数年かかるかもしれません。 適切な準備ができていないと、新しい市場に進出して成功するまで時間が長くなり、企業の成長を遅らせることになります。