デジタル・ボディランゲージの重要性
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はじめに
インターネット上で行うマーケティングの特筆すべき点は、従来のマーケティングでは把握することのできなかった顧客のあらゆる情報を把握できるできることにあります。 電子メールやCRM、メールトラッキングツールやGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールの登場により、マーケティングや営業活動の方法は従来と比べると大きく変化しました。 営業担当者は、見込み客に営業活動を行う前に、その人の習慣や興味のあるサービス・分野についてなどあらゆることをより詳細に知ることが可能になったのです。
見込み客が閲覧したページや開封したメールなど、オンラインでの行動に関する情報は、デジタルボディランゲージと呼ばれています。 営業担当者として、この情報をどのように活用するかが、契約を成立させるかどうかの重要なポイントとなります。
デジタルボディランゲージとはなにか
コトバンクでは、ボディランゲージを次のように定義しています。 「音声によらず、身振りや手まね、顔の表情などで相手に意思を伝えること。 また、その方法。 身体言語。」 では、デジタルボディランゲージとは何でしょうか?
デジタルボディランゲージとは、見込み客がサイトやコンテンツ、メールを閲覧する際に見られるオンライン上の活動や行動のことです。
例えば、ユーザーがページ上でどのように行動しているか、どこの箇所をクリックしているかを追跡することで、ユーザーがどのように感じているかを推測することができます。 クリック数、ページ滞在時間、ページのスクロール数などから、そのデータを抽出することができます。 このようなオンライン上の行動を追跡することで、ユーザーのボディランゲージに限りなく近づけることができます。 営業担当者にとって、デジタルボディランゲージは、見込み客がどのような課題を解決しようとしているのか、どのようなソリューションを検討しているのかを知る手がかりとなります。
インターネット上のマーケティングでは、ボディランゲージをコントロールできる方法はありません。しかし、ユーザーのデジタルボディランゲージを把握し適切なアプローチをすることで、例えば商品をかごに入れただけで購入に至らないいわゆる「かご落ち」のような事態を避けることができます。 営業担当者は、見込み客デジタルボディランゲージを把握することで、コンバージョンに至るまでのプロセスのどの段階にいるかに関わらず、見込み客について多くのことを知ることができます。
見込み客のデジタルボディランゲージに値する行動は以下のようなものがあります。
- フォーム送信
- ページビュー
- ウェブサイトに来た人のチャネル
- メールの開封
- 興味のあるトピック
- 1日のうちのアクティブな時間帯
従来のボディランゲージとの違い
例えば、洋服屋の販売員が、店内にいる見込み客に服を売るための営業トークをするという「従来のマーケティング方法」について考えてみましょう。 店員はたくさんの顧客を接客するにつれて、見込み客のボディランゲージを読み取ることが出来るテクニックを身につけることが出来ます。 つまり、見込み客の表情、話し方、仕草などから、見込み客が本当にその服に興味があるのか、または買う気がないのかなど、見込み客が今何を考えているかを大体把握することが出来るようになるのです。
人とのコミュニケーションの60~90%は非言語的なものとも言われています。 つまり、コミュニケーションをする上で、相手のボディランゲージを読み取ることが非常に重要なのです。
インターネットとテクノロジーが発達した「現代のマーケティング方法」に話を戻します。 インターネット上では、画面の向こうにいる見込み客の表情や仕草が見えません。 その結果、相手のボディラングエージを読み取る事ができず、営業担当者が物を売る上で最も大事な要素を失ってしまっています。 見込み客のボディランゲージを読み取って、営業担当者が見込み客に合わせて表情や声のトーン、売り方のアプローチを調整することが出来なくなってしまったのです。 しかし、インターネット上でも適切なツールを使い、リサーチすることで、見込み客のデジタル・ボディランゲージを読み取ることができるのです。
デジタルボディランゲージの活用法
デジタルボディランゲージは、最初の営業活動の時だけに役立つわけではありません。 営業プロセス全体を通して、担当者はデジタルボディランゲージを使って、見込み客の関心度を測ることができます。 購買サイクル全体を通じて有効であり、見込み客が購買プロセスのどの段階にいるのか、またペルソナや興味のある分野は何かを把握することができます。 それは、営業担当者の働きかけやマーケティング活動の重要な指針となります。
ここではいくつかデジタルボディランゲージの活用方法を紹介します。
見込み客に対するアプローチ方法を特定する
デジタルボディランゲージは、見込み客に対するアプローチ方法を決定するのに最適な指標です。各社が提供するメールトラッキングツールを使えば、見込み客がメールが開いたかどうか、何時に開く傾向があるのか、メールをスクロールして全文を読んだかどうかを確認することができます。 すべてのメールを開いても返事をしない人もいれば、一度もメールを開かない人もいるでしょう。 見込み客がどれだけメールに関心を持っているかを知ることで、担当者は、関心を持っている見込み客とそうでない見込み客の優先順位を決めることができます。 また、メールを送るべきか、電話をかけるべきかを判断するのにも役立ちます。 もし、夜の7時にいつもメールを開いたり、webサイトを開いている見込み客がいたら、その時間帯に電話をかけたり、メールを送ったりするのが良いでしょう。
最初のアプローチの前に
見込み客がサービスや製品に対してコンバージョンすると、その情報とデジタル・ボディランゲージのすべてがCRMで利用可能になります。
CRMとは
CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、日本語では「顧客関係管理」または「顧客関係性マネジメント」などと訳されます。 製品やサービスを提供する企業が、顧客との間に親密な信頼関係を作り、購入してくれた顧客をリピーターに、リピーターからファンになるような活動を行い、顧客と企業の相互利益を向上させることを目指す総合的な経営手法です。 参考サイト https://www.synergy-marketing.co.jp/glossary/crm/
営業担当者が新しい見込み客を見つけ出した際に、最初にすべき行動は、その見込み客のデジタル・ボディランゲージをリサーチすることです。 デジタル・ボディランゲージは、見込み客が会社やブランドについてどれだけ知っているかを測るのにも最適です。 もし大量に消費し、サイトに入り浸っている見込み客がいるのならば、その人は購入を本格的に検討している段階だと考えられます。そこで、営業担当者はそのような見込み客に太阿して優先的に営業アプローチを仕掛けると効果的かもしれません。
また、見込み客が資料や広告などのコンテンツをわざわざダウンロードしているかどうかを確認することで、サービスに対する見込み客の関心の高さを測ることができます。また、デジタル・ボディランゲージを効果的に利用するためには、自社の営業活動に役立つ情報が何か、という指標で捉え、定期的に見直すことが重要です。
購買サイクルの中で
最初の営業アプローチの後の段階でも、デジタルボディランゲージは見込み客をリサーチするのに役立ちます。 営業電話や営業プレゼンテーションの後に、見込み客に資料やメールを送信したら、そのドキュメントが何回開かれたか、ドキュメントのどの部分が最も見られたかを追跡することができます。 電話で話したばかりの見込み客が、電話の後に資料を見ているという通知を受け取るとることにより、見込み客が非常に関心が深く検討をしていることがわかります。
またドキュメントのトラッキング追跡ツールは、契約書や提案書の段階でも価値があります。 もし、見込み客が資料を開いて価格のページに何度も直行していたら、見込み客は価格を非常に重視しているか、懸念していると推測できます。
また、デジタルボディランゲージを使って、見込み客との電話やミーティングでのアプローチ方法を伝えることもできます。 例えば、営業担当者が営業電話の前に事前に大量の資料を送って、電話の1時間前になって見込み客が資料を読んだりサイトを見たりしている場合、「見込み客が電話に対して事前にしっかり準備をしているほど関心が高い」と判断することができます。
さいごに
見込み客が購買サイクルのどの段階にいるかに関わらず、デジタルボディランゲージは、各々の見込み客に対してパーソナライズされた営業活動をするために非常に重要です。 デジタルボディランゲージを活用しなければ、営業担当者は見込み客に効果的な営業アプローチをすることができず、その結果、全体的に成約数が少なくなってしまいます。
しかし、デジタルボディランゲージを使えば、見込み客の購買欲の高さ、低さをより明確に把握し、より成約の可能性が高い営業活動をすることができます。