営業とマーケティングの連携
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はじめに
営業チームとマーケティングチームの間の連携が不十分である問題は、あらゆる業界において長年の課題となっています。多くの企業では、営業チームとマーケティングチームが十分に連携できていません。 営業チームとマーケティングチームは会社内に独立して存在し、ビジネスでは異なる優先順位を持っているのです。 しかし、そうなると、チーム間の摩擦やフラストレーションにつながり、売上目標を達成することが難しくなるという傾向があります。 つまり、両チームが別々に機能している企業はビジネスにおいて不利な状況に置かれているということです。
営業チームとマーケティングチームの連携が行われていない場合、非効率なプロセスが発生し、最終的には明確な目的のない営業活動や資料作成に無駄な時間を費やすことに繋がります。マーケティングチームが見つけ出した見込み客の79%に対して、営業担当者が何もアクションを起こさなかったためにコンバージョンに至らなかったという結果が出ています。
しかしながら、両チームが同じ考えを持っていれば、せっかくの努力が無駄になることはありません。マーケティングチームと営業チームが協力し合い、両チームがしっかり連携することにより、会社に多くの利益をもたらすことが可能になるのです。
営業チームとマーケティングチームを連携させる方法
マーケティングチームと営業チームは、売上と収益の向上という同じ目標を持っているため、両者で協力しあい、十分な連携を取ることが重要です。営業チームとマーケティングが連携することにより、企業のビジネスパフォーマンスを向上させる最大の機会となる可能性が高いのです。 しかし、どのような方法で両チームを連携させれば良いのでしょうか。
具体的な方法を紹介します。
戦略を共有する
営業チームとマーケティングチームは、定期的にミーティングを行い、共通の目標や互いの戦略、仕事の流れ、成果などについてコミュニケーションをとりしっかりと把握しておくことが必要です。 戦略の設定やコンテンツの企画において、両チームの発言力を確保することで、購買プロセスの各段階で見込み客に的確なアプローチをすることが出来、コンバーションにつなげることができます。
システムを共通化しワークフローを簡素化する
営業チームとマーケティングの連携チームは、リーダーシップを強化し、共通の目標やターゲットとなるペルソナを組み合わせるだけでなく、ツールを共有することでワークフローを簡素化することができます。 マーケティングチームと営業チームが別のシステムを使用するのではなく、両チームが同じダッシュボードやツールを使用し、案件や顧客情報を共通して管理することが重要になります。
「セールス・イネーブルメント」を活用させる
営業とマーケティングを連携させる方法のひとつに、セールスイネーブルメント(※)があります。 セールス・イネーブルメントとは、広義では『営業活動をテクノロジーの力で効率化し、成果を最大化するための新たな手法・活動・技術』を指します。(出典:ITR White Paper「営業課題の解決に向けた SalesTechの考察」)。
セールス・イネーブルメントは営業チームとマーケティングチームの連携を図り、担当者の効率と生産性を向上させるのに役立ちます。セールスイネーブルメントをビジネスを行う上での新しい基準と位置づけている企業が増えてきます。 セールス・イネーブルメントについては以下の記事に詳しく書いてあります。 参考サイト 営業の新常識「セールス・イネーブルメント」とは
2つのチームが共通の目標を持つ
マーケティングチームと営業チームは、共通の目標を持つ必要があります。 売上目標を達成するためには、見込み客を見つけ出す必要があります。 見込み客を見つけだすためには、ウェブサイトの訪問者を見込み客に変える必要があります。 ウェブサイトの訪問者を見込み客に変えるために、まずはウェブサイトへの訪問者を集める必要があります。
マーケティングチームと営業チームは通常、このプロセスの別々の部分を担当しています。 マーケティングは訪問者を見込み客に変化させる段階を担当し、営業は見込み客を成約まで持っていく段階を担当しています。しかし、両チームは上記のプロセスのすべての段階で協力し合い、互いのパフォーマンスと目標を可視化する必要があります。目標を設定しても、チームがその目標を達成できなければ意味がありません。
マーケティングチームと営業チームの間が抱える摩擦として、「お互いがお互いの仕事を適切に行っていないと認識している」という問題があります。つまり、営業チームは「マーケティングチームが十分に適合性の高い見込み客を見つけていない」と考え、一方マーケティングチームは、「営業チームに提供した見込み客のフォローアップを営業チームは十分に行っていない」と感じているのです。
このような意見の相違を防ぐためには、サービスレベルアグリーメント(SLA)を作成する必要があります。 SLAとは、両チームが目指す目標を明確に数字化した項目のことです。SLAでは、マーケティングチームには見つけ出してくる見込み客の明確な人数がノルマとして課せられ、営業チームには、その見込み客に対するフォローアップのガイドラインが課せられます。 例えば、最低何回のアプローチを試みるか、どのくらいの期間で連絡を取る必要があるかなどです。 さらに、SLAには明確な見込み客の定義(ペルソナ)が含まれています。 これにより、マーケティングと営業チームが同じタイプの見込み客を求めていることを確認できます。
適切なツールを利用する
マーケティングチームと営業チームが目標を達成するために、その進捗を可視化させるツールを導入する必要があります。特に、顧客管理ツールを利用することでタスクが可視化されます。 例えば、営業ダイレクトメールの数や、営業担当者が未接触の見込み客の数、最近見つけ出された有望な見込み客の数などを全員が確認できるようになり、業務の効率化に役立ちます。
定期的にフィードバックをする
マーケティングチームと営業チームの連携を始めたばかりの頃は、苦労することが多いかもしれません。 売上目標やバイヤーペルソナは、進捗や成果を確認しながら常にアップデートし続ける必要があります。少なくとも年に一度は見直す必要があるでしょう。 加えて、月に一度、あるいは四半期に一度、両チームで合同チームミーティングを行うなど、チーム間でよくコミュニケーションを取り合い、フィードバックし合う必要があります。
両チームを連携させることで得られる効果
現在、インターネットの普及などにより、見込み客はブログ、メール、アプリ、SNSなど、あらゆるチャネルをまたいで消費活動を行っています。こうした以前より複雑化した購買サイクルは、マーケティングと営業に新たな課題をもたらしています。しかし、営業とマーケティングが連携すれば、それらの問題は解決することができます。
的確な相手に対して営業活動を行うことができる
営業チームはマーケティングが見つけ出した見込み客の80%を無視し、代わりに非生産的な見込み客探しに時間を費やしているというデータがあります。 営業担当者は、以前取引をしたことのある顧客との信頼関係を築くため、マーケティングが見つけ出してきた新たな見込み客よりも、コンバーションに結びつく望みが薄い既存の顧客に対しての営業活動に時間を使う傾向があります。 しかし営業とマーケティングが売上の目標、見込み客の情報などについてしっかりと連携をして情報を共有している場合、両チームは有望な見込み客に対して効果的に時間を使うことができます。
さいごに
マーケティングと営業の連携は、新しい概念ではありません。マーケティングチームと営業チームが連携することで、両チームの努力が増幅されるため、現在では大半の企業がその実現に向けて取り組んでいます。 B to Bの購買プロセスが進化した結果、購買サイクルはより複雑になり、顧客関係も大きく変化しています。
お客様のニーズに応えるためには、営業とマーケティングの担当者が協力して、従来のしつこい営業電話やDMなどの営業活動から脱する必要があります。マーケティングは見込み客を成約に結びつけるために、営業をサポートする必要があるのです。
近年では部門間の壁が取り払われ、チームが協力し合う企業が増えています。つまり、チームの連携に取り組まなければ、競合他社に優位性を与えてしまうことになります。 営業とマーケティングが連携すれば、収益は増加し、営業サイクルは短縮され、コンバージョン率は向上します。 営業チームとマーケティングチームの連携は、会社の成功に不可欠な要素となっています。