アカウント・ベースド・マーケティング戦略とは
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アカウントベースドマーケティング(ABM)とは
アカウント・ベースド・マーケティング戦略(以下ABM戦略)とは、B to Bマーケティングにおいて、マーケティングチームと営業チームが協力して、最適なアカウント(企業)をターゲットにし、顧客化することを目的とした営業アプローチの手法です。街中やインターネット上に広告が溢れ、情報が氾濫する現代では、マーケティング担当者は常に競合他社との差別化を図り、潜在的な顧客の注目を集めるために常に尽力しています。 より高い投資対効果ROI(※)を目指す企業は、アカウント(企業)への浸透、マーケティングへの浸透を考慮しながら、長期的な顧客になる可能性の高いアカウントに注目する必要があります。
そして、現在、様々なデータを一元管理できるマーケティングオートメーション化が進んでいる背景もあり、見込み客単位ではなく、ターゲットとなる企業・組織(アカウント)をどう定義し、攻略するのかという点に注目が集まっています。
投資対効果(ROI)とは
投資対効果とは、投資に対してどれだけ利益をあげたのかを示す指標のことです。投資対効果を意味する言葉「Return On Investment」の頭文字をとって「ROI(アールオーアイ)」と呼ばれます。他にも「投資収益率」「投資利益率」と呼ばれることもあります。収益額を投資額で割る計算になるので、この数値が高いほど、投資あたりの成果が出ていると言えるでしょう。 参考サイト https://saleshacks.digima.com/what-is-return-on-investment/
はじめに
企業に最も適した、価値の高い顧客に直接製品やサービスの営業アプローチをすることができたとしたら、非常に効率的です。 自社のビジネスに適していない、見込みが薄い見込み客へのマーケティングや販売に、無駄な時間やリソースを費やす必要はありません。アカウント・ベースド・マーケティング戦略を活用することで、ターゲットとなる顧客を惹きつけ、彼らに絞って営業活動をすることが可能になります。 このように販売プロセスのステップを踏むことにより、マーケティングチームと営業チームの連携を強化することができます。 また、顧客との長期的で友好的な関係を促進し、顧客を喜ばせ、収益を上げることにも繋がります。
目標を達成するためには、マーケティングチームは、営業とマーケティングの専門知識を融合させた戦略を採用する必要があります。効率的に最も重要な価値のある見込み客を見つけ、その顧客にアプローチし、コンバージョンを達成させなければなりません。
近年、見込み客の注目を集めるということの意味は、従来の意味とは大きく異なります。エンゲージメントエコノミーの時代、つまり誰もがあらゆるものとつながっている時代においては、新しく進化したチャネル(※)、戦略、テクノロジーによって、マーケターはまったく新しいレベルで顧客とつながることができます。
チャネルとは
企業のマーケティング活動におけるチャネルは、「流通経路」とそれに携わる業者、組織を指します。マーケティングの世界では「どんなに良い製品でもチャネルが悪いと売れない」とも言われており、企業活動において重要視されている概念の一つです。 参考サイト https://dime.jp/genre/1082921/ つまり、現代はより深いレベルで顧客と繋げれるようになったのです。 しかし同時に、増え続ける情報を整理したり、競合他社をリサーチして分析する必要があるなど多くの課題があります。
ABMは新しい概念ではありません。しかしテクノロジーの進化や環境の変化に伴い、近年にありまた広く用いられるようになってきました。ABM戦略を導入することで、マーケティングROIの向上、収益の向上、コンバージョンの増加、営業チームとマーケティングチームの連携強化などの効果が期待できます。
より多くの見込み客にアプローチするよりも、より絞ったほうが効率的
従来では、一般的にB to Bマーケターは、できるだけ多くの企業にアピールするために、より多くの見込み客をターゲットにする傾向がありました。 しかし、それではより高い投資対効果(ROI)を得ることはできません。 以前は、ABMの取り組みは高度なパーソナライゼーションを必要とするため、規模を拡大することは難しく、コストもかかりました。 しかし、最近のテクノロジーの進歩により、ABMをさまざまな組織に拡大することができ、ABM戦略を容易に取り入れるために、多くのサービスやソフトウェアが生まれたのです。
その結果、より高い価値を生み出すために、あらゆるマーケターがABM戦略をチーム内に導入するようになっています。
ABM戦略のメリット
先述のように、B to Bの世界では、広範なマーケティングアプローチは最初は意味があるかもしれませんが、ターゲットを絞ったアプローチに比べてROIが大幅に低下する傾向があります。 しかし、ABMを成功させることで、収益を上げ、取り組みを最適化し、様々な問題を解決することができます。
より高い投資対効果(ROI)を実現する
ABMの主な目的の1つは、ROIを優先し、明確なビジネス成果をもたらすことです。実際、他のマーケティング施策と比較して、ABMはあらゆるB to Bマーケティング戦略や戦術の中で最も高い投資収益率を実現していることが明らかになっています。
多くの時間や人件費、予算のリソースを節約することが出来る
アカウントベースドマーケティングは、有望で価値の高いアカウントに時間を投資することに重点を置いています。 そのため、マーケターはリソースをより効率的に集中させ、ターゲットアカウントに特に最適化されたマーケティング戦略を実行することができます。
より的確なマーケティング活動を行うことが出来る
アカウントベースのマーケティングは非常にパーソナライズされているため、ターゲットとなる顧客はコンテンツに関心を持つ傾向があります。 その結果、幅広い見込み客に向けたマーケティング戦略よりも、より効率的にコンバージョンに結びつけることができます。
より正確に数値化できる
ABMでは、メールマガジン、広告、SNS上のマーケティングなどにおいて、対象となるアカウントの数を絞って測定します。 そのため、営業活動の効果をより分析しやすくなります。 また、収集したデータはより詳細で、従来では収集できなかった情報を得ることができます。
マーケティングチームと営業チームを連携させる
営業チームとマーケティングチームが連携できていない場合、ABMを導入することにより両チームの連携強化に繋がる可能性が高いです。 ABMは、マーケティングチームと営業チームが同じ考え方をすることで、どのようなアカウントをターゲットにするか効率的に計画することができます。 両チームの連携については以下に詳しく解説されています。 参考サイト マーケティングチームと営業チームの連携の重要性とは
さいごに
ABMとは、マーケティングチームと営業チームが協力して、ターゲットとなるアカウント(企業)を絞り込み、効率的な取引を成立させることです。ABM戦略の対象となるアカウントは、資金力や過去の取引情報などを考慮して、徹底したリサーチの下で選ばれます。 マーケティングは一方通行ではなく、見込み客に製品やサービスを押し付けるだけでもないのです。見込み客と積極的なコミュニケーションが必要です。
ABM戦略を取り入れるとこで、顧客のことをより深く理解することに繋がります。ABMは、価値の高い顧客を獲得、維持、成長させる必要性に迫られている企業にとって、大きな投資収益率(ROI)をもたらすことに繋がるのです。