「インバウンド・セールス」とは

  • セールスとマーケティングの世界は、ここ数年で急速に進化しています。消費者の購買力は高まり、インターネットの普及により情報へのアクセスも増えました。

    同時に、そういった時代に沿った新しい営業方法が生まれてきています。 従来の営業やマーケティングは、迷惑なチラシが郵便受けに大量に入っていたり、テレビやラジオから大声で不快な広告が流れてきたり、大多数の人(=見込み客)を不愉快にさせていることが多くありました。しかし、新たに広がっているインバウンド・マーケティングというマーケティング方法は、見込み客に不快感を与えずに、商品の魅力をアピールし、取り込むことが可能です。インバウンドマーケティングは、企業側が商品について説得力があり有益な情報を発信することにより、見込み客は商品に関心を持つようになります。それは、従来のように情報を押し付けるのではなく、情報で見込み客を惹き付けるということです。 つまり、営業担当者も同様に「インバウンド・マーケティング」に適応した営業手法に切り替える必要があるということです。

    関心のない消費者にすぐに売り込むことは、今の時代には通用しません。その代わりに、インバウンド・セールスの方法論を学ぶ必要があるのです。

    インバウンドセールスとは?

    インバウンドセールスとは、個々の購買者のニーズ、課題、目標、興味を優先する営業手法です。 インバウンドセールスでは、自社の売り上げのためにできるだけ早く見込み客に商品を購入させることに集中するのではなく、消費者が置かれている状況に応じて、意思決定プロセスを押し付けるのではなく、誘導することに努める営業手法です。

    見込み客が製品やサービスの購入を検討している段階で、見込み客のデジタル行動(インターネット上でどういった行動をしている)を分析することで、個々の見込み客に対して不快感を与えない、親切でパーソナライズされた営業戦略を作成することができます。そして最終的には、見込み客を長期的な顧客に変える可能性が高まるのです。

    インバウンドセールスとアウトバウンドセールスの違いとは?

    アウトバウンド・セールスとは、ポストに広告チラシを投函したり、しつこく営業電話をかけるなど、現代では迷惑行為とみなされるような活動を伴う昔ながらの伝統的な営業方法のことです。言い換えれば、アウトバウンド・セールスとは、自社製品に興味があるかどうかに関わらず、多くの人々に自社のメッセージを「押し付ける」行為です。

    一方、インバウンドセールスの手法は、興味を持ってくれた見込み客を「引き寄せる」行為です。 以下は具体例です。

    インバウンド・セールスの具体例
    • Youtubeやインスタグラムなどソーシャルネットワーク上の広告
    • SEO対策をし、検索エンジンに製品の情報表示させる
    • 週1のメルマガによる情報配信
    • ブログにサービスの魅力を伝える記事を載せる
    • ウェブ上のセミナー(ウェビナー)

    アウトバウンドセールスの戦略をインバウンドで使うには?

    例えば、営業担当者が見込み客に営業電話をかけるとき、それは見込み客がその製品やサービスを求めているからではありません。営業側が必要だと思い込み、電話をかけているだけです。 しかし、インバウンドセールスの基本は、「見込み客が製品やサービスに興味を持っているということを見込み客側から会社に提供してもらうこと」であり、上記の「アウトバウンド」の営業電話のように思い込みで判断する必要はありません。

    そして、企業が真に成長するためには、インバウンドとアウトバウンドの両方の営業手法を適切に組み合わせることが必要です。理由としては、インバウンドセールスのみでは、見込み客からのアクションがなければ営業ができないので、営業できる件数が流動的になることが挙げられます。

    アウトバウンドセールスは見込み客を獲得する行為であり、インバウンドセールスはその見込み客をフォローアップし、信頼関係を築き長期的なお客様にするための行為であると言えます。

    つまり、インバウンドセールスの要は、リサーチなのです。 見込み客をフォローアップする際は、簡単なリサーチを行って、その見込み客の興味を持っている分野を理解し、フォローアップメッセージをインバウンド・セールスの形式に合うように取り入れることができます。

    アウトバウンドの営業戦術をインバウンドセールスに活用する方法

    1. 買い手のペルソナをしっかりと定義する

    ペルソナとは、自社の製品やサービスから最も恩恵を受けるであろうお客様のタイプを架空の形で表した、「仮想的な人物像」のことです。「ターゲット層」と言い換えることもできます。 ペルソナを設定する上での説明には、仕事の役割、会社の規模、課題、目標、好みのソーシャルメディアの種類、購買力のレベルなどの情報を定める必要があります。インバウンドの手法を機能させるためには、営業チームとマーケティングチームの両方が、ターゲットとするペルソナと、そのペルソナをターゲットにするためのプロセスについて共有をしておく必要があります。 この共有により、チームのスケーラビリティとアウトリーチ活動の成功が保証されます。

    2. 見込み客のデジタルボディランゲージを分析する。

    見込み客は、広告や情報に触れることで、デジタルボディランゲージと呼ばれる情報を蓄積していきます。 デジタルボディランゲージとは、見込み客がウェブサイト上で行ったすべての行動を集約したプロフィールのことです。見込み客が閲覧したページ、フォームから送信した個人情報などが含まれます。この情報は、お客様がどのペルソナに当てはまるのか、どのような課題を抱えているのか、どのような製品に興味を持っているのかを特定するための手助けになります。見込み客が何を求めているかという「内部情報」を手に入れれば、より有益で意味のある営業をするために役立てることができます。

    つまり、見込み客に不快感を与えない効果的な営業を実現するためには、見込み客にたいして営業活動を行う前に、彼らのデジタルボディランゲージを研究する必要があるのです。見込み客がどのような製品を調べているのか、あなたの会社を調べるきっかけとなった見込み客の悩みを理解しましょう。

    3. 営業チームとマーケティングチームの業務を連携させる

    営業チームがマーケティングチームと同じ情報にアクセスできるようにしておく必要があります。 営業チームとマーケティングチームが同じプラットフォームで作業していない場合や、プラットフォームが統合されていない場合は、両方のチームから情報に簡単にアクセスできるようにする方法を考えなければなりません。

    営業活動においては、主に成約した売上の半分は、最初にフォローアップした営業担当者が獲得しています。 もし営業担当者が、購買行動の初期段階で見込み客の興味を引きつけようとしていないなら、何千もの見込み客を逃している可能性があります。こうした損失を逃さないために、マーケティングチームと営業チームの連携を強化しておく必要があるのです。 マーケティングと営業のアプローチがどこで重なっているかを理解することで、営業活動を合理化し、見込み客が重複したコンテンツや無関係なメッセージに振り回されて見込み客に不快感を与えないようにすることができます。

    また、インバウンドとアウトバウンドで調達した見込み客を区別するためのオペレーションも必要になります。

    インバウンドセールスにおける問題解決のアプローチ

    インバウンドセールスの成功には、自分のニーズよりも買い手のニーズを優先することが不可欠です。 古典的な「見込み客に製品を購入させる段階に早く持っていく」という営業戦略の代わりに、インバウンドセールスのモットーは「常に見込み客の手助けをすること」です。見込み客との関係を構築する際には、問題志向の会話を心がけ、見込み客が自分の課題を特定できるようにサポートします。

    そして、課題が明確に定義されたら、解決策を示すコンテンツで会話を補完していきます。例えば、ウェブサイトのリニューアルについてコンバージョン(成約)した見込み客が、インバウンドマーケティングに関するサービスについても資料請求や見積り依頼をしていたとしたら、まずインバウンドについて話をします。見込み客の行動を見ると、ウェブサイトのリニューアルが第一の目的であることは明らかですが、インバウンドマーケティングにも興味を示しているということになります。 したがって、営業担当者は、見込み客のリニューアルした新しいウェブサイトでインバウンドマーケティングを実行することの利点を中心に会話を構成するべきです。もちろん、見込み客が購入を希望し、営業と話をする準備ができているなら、すぐに話をします。いくつかのコンテンツを資料請求・見積り依頼をしてくれたなら、その日のうちに連絡を取りましょう。メールを購読している場合は、週明けまで連絡しないほうがいいでしょう。見込み客の購買段階を見極めることで、最も効果的な戦略でアプローチすることができます。

    さいごに

    適切なツールとガイダンスがあれば、中小企業も含め、どんな規模の組織でもインバウンドセールスを効果的に導入することができます。 特に営業支援サービスと協力することで、インバウンドマーケティングを用いた効果的な営業の戦略を確立することができます。 参考サイト 営業支援サービスについての詳細はこちら